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ノイズ対策(EMC対策)

EMCとは

Electromagnetic Compatibility:電磁環境両立性

ノイズ対策ではこのEMCすなわち電磁環境両立性という考え方が基本になります。
このためノイズ対策とEMC対策はしばしば同義として扱われます。

ところでこの電磁環境両立性とはどのような意味を表すのでしょうか。
世の中には電気、電子機器が無数に存在します。家庭用機器をはじめ工場の生産設備、病院の医療機器、通信機器などのインフラ設備、また鉄道、飛行機、自動車においても電気、電子機器なくして動作させることは不可能です。これらの電気電子機器は電磁ノイズが原因で誤動作や故障をする場合があります。時には生命をおびやかすような重大な事故にもなりかねません。従って電気電子機器を正常に動作させるためのノイズ対策が重要になります。

ノイズ対策の考え方

ノイズ対策には2つの考え方があります。

  • 使用する機器からノイズをださないような対策を機器に施す。
  • 使用する機器が外部からノイズを受けても正常に動作するよう耐ノイズ性を高める対策をする。

前者をEMI対策(Electromagnetic Interference:電磁妨害)
後者をイミュニティー対策(Immunity:免疫性)
もしくはEMS(Electromagnetic Susceptibility:電磁感受性)
を高める対策といいます。

つまり、EMC(電磁環境両立性)とは電気、電子機器を正常に動作させるためこのEMI対策とイミュニティー対策(EMS)両者を実施することにより機器がノイズに強い環境を保つことを意味します。

グランディング

グランディング

電子回路のグランドは、動作電圧の基準を決めるとともに電流の帰路として機能します。貧弱なグランドは、電子回路の基準電圧を不安定にさせ、不要輻射をもたらすばかりか、外来ノイズや静電気放電による誤動作をもたらします。

グランドは、基準電圧を決める働きを確実にするために、広く大きいことが好ましいとされています。このことは、多層プリント基板にグランド層を設けて、さらに金属フレームを採用する事例にも見ることができます。次に大切なポイントはグランド同士の接続方法です。電流の帰路としての働きを確実にするためには太く短く接続することが必要です。

電子回路のグランドを金属フレームに接続することをフレームグランドと呼びます。フレームグランドはノイズ対策の常套手段ですが、いかに太く短く、そして多くの箇所で接続するかでその効果が決まります。

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フィルタリング

フィルタリング

信号の特徴を手掛かりにこれらを選別する操作をフィルタリングと呼びます。ハイパスフィルターはある周波数より高い信号を通過させ、バンドパスフィルターは特定の周波数帯域のみを通過させます。フィルタリングは、このように、電気信号の周波数を頼りに行われるだけではありません。伝送モードの違いを用いたフィルタリングは、ノイズ対策に無くてはならない技術です。

ノイズ対策でフィルタリングの目的は、信号とノイズを分離することにあります。デジタル回路のクロック信号の高調波ノイズや制御回路で発生するスイッチングノイズは、回路やケーブルをコモンモードで伝播し輻射します。これに対して、本来伝えるべき信号は、デバイス間をディファレンシャルモードで受け渡しされます。フェライトコアやコモンモードチョークコイルは、コモンモードで伝播する信号を妨げ、ディファレンシャルモードの信号のみを通過させることにより信号とノイズを選別します。

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シールディング

シールディング

ノイズの種類はその伝播形態から、空間を伝わる放射エミッションノイズとケーブルや金属を伝わる伝導エミッションノイズに分類されます。シールディングは放射エミッションに有効なノイズ対策技術のひとつです。

ノイズを輻射する回路の一部や機器全体を金属遮蔽物で覆うことをシールディングと呼びます。シールディングにより放射エミッションノイズをその空間内に閉じ込めて外部への輻射を抑えることが可能です。また、外来ノイズの進入を防ぐことにより、ノイズによる電子回路の誤動作を防ぐことも可能です。シールディングは、エミッションとイミュニティー両方のノイズ対策に有効な手段ですが、確実な効果を得るためには、電磁波を漏らさない、通さないための工夫や配慮が必要です。金属筐体のつなぎ目や開閉部、通気口などの開口部の処理、ケーブルのシールドと筐体との接続部などの導通を確実に行わなければなりません。そこで、シールディングによるノイズ対策には、導電性のガスケットやテープ、メッシュ(金網)や導電性のケーブルシールドカバー、そして導電性のクランプなどが数多く用いられています。

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